2014年4月12日土曜日

第11回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2014年5月17日() 15:00~18:10
【 会場 】 東京大学駒場 I キャンパス 14号館 307号室

【 プログラム 】
15:00~16:30 講演:松嵜英也(上智大学 大学院グローバル・スタディーズ研究科)

冷戦終焉におけるソ連邦解体と事実上の国家の形成 
―労働集団合同評議会の沿ドニエストル共和国建設過程の解明―
Disintegration of the Soviet Union and Formation of the De Facto State in the End of the Cold War: 
Analysis of the Political Building Process of Transnistria Republic by OSTK

 旧ソ連圏の事実上の国家は、ソ連解体期に内戦型紛争へと至る過程で統治の実効性を確立した。グルジアの南オセチアとアブハジア、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ、モルドヴァの沿ドニエストルでは、共和国から事実上の分離独立を果たし、現在まで実効支配が及ばない地域となっている。
 この中で沿ドニエストルはソ連解体期に自治を有さなかったが、実効的な統治を確立した特異な側面を持つ。同地域は1990年9月の分離宣言、92年3月の沿ドニエストル紛争勃発、7月の一時停戦締結の過程で国家の基本的機能(政府、議会、軍、国立銀行等)が形成された。いかなる政治力学が働いて事実上の分離独立へと至ったのか。
 本報告の目的は、沿ドニエストルで事実上の国家が形成されるまでの政治過程をモルドヴァからの分離独立を主導した労働集団合同評議会に着目して論じる事である。ソ連解体期に生成された沿ドニエストルは、法的地位が曖昧な状態で現在も存続している。報告ではその過程を内在的に説明する事で、冷戦から現在への連続/非連続性に何らかの示唆を与えたい。



16:40~18:10 文献紹介(担当:石垣 勝 / 東京大学 大学院総合文化研究科)
        市川浩『冷戦と科学技術 ―旧ソ連邦 1945~1955年―』ミネルヴァ書房、2007年: