2015年2月1日日曜日

第18回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2015年3月22日() 15:00~18:00
【 会場 】 東京大学駒場 I キャンパス 14号館 308号室

【 プログラム 】
15:00~18:00 講演 コメント
     講演:加藤智裕(一橋大学 大学院法学研究科)
        コメンテータ:伊藤裕子(亜細亜大学 国際関係学部 教授)

ケネディ政権期の南アジア政策 1961-63年 ―南アジアにおける冷戦の激化とインド洋への進出―
The Kennedy Administration’s Policy towards South Asia, 1961-63: The Escalation of the Cold War
in South Asia and Establishment of U.S. Military Presence in the Indian Ocean

 ケネディ政権期の南アジア政策には、他の冷戦期の政権と異なり、インドへの接近政策が展開されたという点に特徴がある。またケネディ政権は、南アジアにおいて多くの困難に直面した。例えば、インドへの援助をめぐるアメリカとソ連との競争関係や中印国境戦争の勃発、アメリカとパキスタンの同盟関係における相互不信の増大、アメリカとイギリスの南アジアにおける協調パターンの瓦解、パキスタンとアフガニスタンの国境問題などである。
 これまでの先行研究では、ケネディ政権の南アジア政策を論じる際に、中国要因が注目されてきた。中国要因というのは、62年10月に勃発した中印戦争によって、中国の南アジアにおける脅威が増大したということを主に意味する。これに対し本報告では、中国要因に加え、パキスタン要因、ソ連要因、そしてイギリス要因を加えることで、ケネディ政権期の南アジア政策の研究に新たな解釈を提示する。そこで、なぜアメリカはパキスタンを重視し続けたのか、という分析視角を設定することで、中東政策との連関やケネディ政権のインド洋進出の論理、柔軟反応戦略のインド洋地域への適応という新たな政策課題が浮き彫りとなってくるのである。