2013年12月14日土曜日

第7回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2014年1月25日() 15:00~18:15
【 会場 】 東京大学駒場 キャンパス 14号館 308号室

【 プログラム 】
15:00~18:10 講演:市川 浩(広島大学 大学院総合科学研究科 教授)

"東側"の原子力 ―原子力とソヴィエトの科学者、原子力技術の中国・東欧諸国への伝播―
Nuclear Power in the “Eastern Block”: the Soviet Scientists about Nuclear Power,
the Diffusion of Nuclear Technology to China and the East European Countries

 本報告は大きくふたつの部分からなる。ひとつは、近年のソヴィエト史研究のなかでソ連政治体制の重要な能動的要素とみなされるようになったソヴィエト科学者が、権力との交渉において“原子力開発”のカードをどのように使い、“核の時代”の何を問題にし、どのように権力との溝を深めていったか、戦後ソヴィエト「科学の社会史」の文脈上に考察する部分である。もうひとつは、ソ連からの中国・東欧諸国への原子力技術の移転(中国へは核兵器技術、東欧には原子力発電技術)過程の概要を提供し、その東西冷戦の進展との関連を問う部分である。本報告が往々にして西側に偏りがちな原子力開発史研究に新鮮な視点をもたらすものとなることを期待する。




2013年11月13日水曜日

第6回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2013年12月14日() 15:00~18:10
【 会場 】 東京大学駒場 キャンパス 14号館 307号室

【 プログラム 】
15:00~16:30 講演:佐藤 靖(科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー)

NASAと冷戦との関わりの諸側面
Several aspects of NASA's relationship to the Cold War

  1957年、ソ連が世界初の人工衛星スプートニク1号の打上げに成功すると、米国は冷戦環境下での宇宙技術の死活的重要性を改めて認識し、翌年には国立航空宇宙局NASA(National Aeronautics and Space Administration)を設立した。NASAは非軍事部門の宇宙開発を担う組織であったが、実際には国防総省から技術能力を引き継ぎ、同省からの影響を受け続けていた。
 冷戦の一つのクライマックスであった1960年代前半に巨大な組織となったNASAは、その後アポロ計画の成功とほぼ同時にデタントが進むと一気に政治的推進力を失った。1970年代及び1980年代にNASAは、スペースシャトル計画や宇宙ステーション計画を進めるが、冷戦終結とともにこれらの計画の意義も変化し、今日に至っている。半世紀余りにわたるNASAの歴史を通観することで、冷戦環境が米国の歴代政権を媒介してNASAによる宇宙開発を複雑に形作ってきたことをみてとることができる。



16:40~18:10 文献紹介(担当:濱村 仁 / 東京大学 大学院総合文化研究科)
David Holloway (2010), "Nuclear weapons and the escalation of the Cold War, 1945-1962", in Leffler, M.P. & O.A. Westad (eds.), The Cambridge History of the Cold War, Vol.I, Cambridge University Press, pp.376-397.
Burr, W. & D.A. Rosenberg (2010), "Nuclear competition in an era of stalemate, 1963-1975", in Leffler, M.P. & O.A. Westad (eds.), The Cambridge History of the Cold War, Vol.II, Cambridge University Press, pp.88-111.




2013年10月10日木曜日

第5回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2013年11月23日(土・祝) 15:00~18:10
【 会場 】 東京大学駒場 キャンパス 14号館 307号室

【 プログラム 】
15:00~16:30 講演:石垣 勝(東京大学 大学院総合文化研究科)

冷戦と核融合開発 ―国家威信と国際主義の狭間で―
The Cold War and Nuclear Fusion R&D: Between National Pride and Internationalism

 冷戦は、国力と科学技術力との不可分性が強く認識された場でもある。とりわけ、大国たらんとする国々は、先端的‐未踏的な巨大科学の開発をそれぞれ国の威信をかけて推進し、鎬を削り合っていた。それゆえ、国家や同盟の枠組みを超える先端技術の情報交流は、厳重に統制されていた
 核融合開発も、各国間や東西両陣営間で覇権争いが繰り広げられた巨大科学の一分野である。だが同時に、国際協調による開発を志向する国際主義的な意識が早い段階から広く共有され、先端研究に関わる情報や人材でさえもが、各陣営内部においてだけではなく、“鉄のカーテン”をも越えて往来し続けた特異な分野でもある。
 核融合開発では、なぜ、このように競合と協調とが共存しえたのだろうか?ここでは、他の巨大科学諸分野との比較によって、また、国際レヴェル/各国内レヴェルにおける政治-経済-社会的環境の変容過程、核融合開発の大規模化や国際ネットワーク形成の過程を俯瞰することで、その背景を探っていく。

                              

16:40~18:10 文献紹介(担当:住田朋 / 出版社勤務 http://researchmap.jp/sumidatomohisa/
J. R. McNeill (2010), "The Biosphere and the Cold War", in Leffler, M.P. & O.A. Westad (eds.), The Cambridge History of the Cold War, Vol.III, Cambridge University Press, pp.422-444.




2013年9月15日日曜日

第4回例会

公開合評会 加藤哲郎・井川充雄(編)『 原子力と冷戦 ― 日本とアジアの原発導入 ― 』 花伝社、2013年:http://kadensha.net/books/2013/201303gensiryokutoreisen.html

(※ 終了しました)
【 日時 】 2013年10月11日(金) 17:40~21:00
【 会場 】 東京大学駒場 キャンパス 16号館 109号室

【 プログラム 】
1) 17:45~18:25 講演 I
   加藤哲郎 (早稲田大学 大学院政治学研究科 客員教授、一橋大学名誉教授)
     コメンテータ:中尾麻伊香(日本学術振興会 特別研究員PD - 慶應義塾大学)
2) 18:30~19:10 講演 II
   井川充雄 (立教大学 社会学部 教授)
     コメンテータ:開沼 博(福島大学 うつくしまふくしま未来支援センター 特任研究員)
3) 19:15~19:55 講演 III
   小林聡明 (慶熙大學校 文科大學哲學科 専任教員)
     コメンテータ:ナンタ アルノ(フランス国立科学研究センター 一級研究担当官)
4) 20:00~21:00  総合討論
ファシリテータ:石垣 勝 (東京大学 大学院総合文化研究科)


2013年8月18日日曜日

第3回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2013年9月21日() 15:00~18:10
【 会場 】 東京大学駒場 キャンパス 14号館 307号室

【 プログラム 】
15:00~16:30 講演:木村謙仁(東京大学 大学院工学系研究科)

冷戦期フランスにおける原子力政策
French Nuclear Policy in the Cold War Period

 戦後フランスの原子力技術開発においては、CEA(原子力庁)やEDF(フランス電力公社)といった組織がフランス政府の下で「強いフランス」の実現に向けて、強固な運用体制を築いてきた。その「強いフランス」の柱は国家の自主独立であり、冷戦という情勢下でそれを実現するためには核兵器も必要であると認識されたため、軍事目的の研究開発も一体となって行われた。そして、その軍事研究によって技術水準が押し上げられ、また冷戦を背景とした政治的な駆け引きの結果、PWR(加圧水型軽水炉)の導入が実現し、それが民生利用に関わる政策決定に影響を与えた場面もあった。以上は原子力技術の民生利用と軍事利用の不可分性を明示するものである。 



16:40~18:10 文献紹介(担当: 石垣 勝 / 東京大学 大学院総合文化研究科)
David Reynolds (2010), "Science, technology, and the Cold War", in Leffler, M.P. & O.A. Westad (eds.),The Cambridge History of the Cold War, Vol.III, Cambridge University Press, pp.378-399.




2013年7月14日日曜日

第2回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2013年8月17日() 15:00~18:10
【 会場 】 東京大学駒場 キャンパス 14号館 307号室

【 プログラム 】
15:00~16:30  講演:金山浩司(東京工業大学 大学院社会理工学研究科 特別研究員PD)

東側諸国における科学技術革命論の展開
The rise and fall of the theory of the scientific-technological revolution in the eastern bloc countries

 科学技術革命論とは、1960-70年代のソ連やチェコスロバキアなどで展開された、高度に発達した工業化社会をとらえるマルクス主義的知見の構築を目指した科学論・技術論の総称である。この議論の展開ぶりは同時期の日本にも紹介されていた。ここ数年、各国の若手の科学史・技術史研究者の間で、これらの議論がいかなる素地から生まれいかなる経緯をたどりいかなる内容をもっていたのかを見直そうという機運が高まりつつある(発表者は、先日参加した国際科学史・技術史・医学史会議の席上でこうした潮流を直に感じ取ることができた)。こうした最新の研究動向も紹介しつつ、冷戦期東側諸国の科学観・技術観、当該諸国の国際的な知的ネットワーク、ひいてはそれらの国々における知的討論がもっていた特色等について検討していきたい。


16:40~18:10 文献紹介(担当:石垣 勝 / 東京大学大学院 総合文化研究科)
鈴木一人『宇宙開発と国際政治』岩波書店、2011年:




2013年7月1日月曜日

第1回例会

(※ 終了しました)
【 日時 】 2013年7月13日() 15:00~18:10
【 会場 】 東京大学駒場 キャンパス 14号館 307号室

【 プログラム 】
15:00~16:00 文献紹介(担当:石垣 勝 / 東京大学 大学院総合文化研究科)
田中孝彦「 冷戦史研究の再検討 ― グローバル・ヒストリーの構築に向けて―」一橋大学法学部創立50周年記念論文集『 変動期における法と国際関係 』有斐閣、2001年、523-545頁。
田中孝彦「 序論 冷戦史の再検討 」日本国際政治学会編『国際政治』第134号、2003年11月、1-8頁。

16:10~18:10 文献紹介(担当:石垣 勝 / 同上)
加藤哲郎・井川充雄(編)『原子力と冷戦 ―日本とアジアの原発導入―』花伝社、2013年:http://kadensha.net/books/2013/201303gensiryokutoreisen.html