【 日時 】 2015年5月16日(土) 13:30~18:00
【 会場 】 上智大学 四谷キャンパス 中央図書館 L-912号室
【 プログラム 】
13:30~15:45 第 I 部 講演 & コメント
講演:松村史紀(宇都宮大学 国際学部 准教授)
コメンテータ:鄭 成(早稲田大学 現代中国研究所 主任研究員・准教授)
コメンテータ:丸山鋼二(文教大学 国際学部 准教授)
アジア冷戦のローカル化 ―中ソ同盟のなかの在華ソ連軍再考 [1949-55年]―
The Localization of the Cold War in Asia:
Re-examining the Role of Soviet Troops in the Sino-Soviet Alliance (1949-55)
これまで中ソ同盟の誕生によって、アジアに冷戦の二極対立が成立したと考えられてきた。この評価は総体としてみれば間違いではないだろうが、いくらか誇張が含まれている。本報告ではいくつかの拙稿をもとに、ふたつの点から中ソ同盟の意義を再考してみたい。
ひとつは、中ソ関係の二元構造についてである。両政府レベルでは正式な「同盟」を成立させ、ソ連の軍事的役割を大幅に低減させた。一方、両党レベルでは非公式な(あるいは未熟な)中ソ分業を予定し、アジアの革命の主導役を北京に委ねる態勢をとろうとした。全体として、アジア冷戦の前線からソ連が大きく後退するとともに、中国が前面に出るような態勢がつくられていったと考えられる。
もうひとつは、中ソ同盟が誕生したときの東アジア情勢についてである。当時、旧敵国(日本)との講和が未完であったばかりか、米国の同盟網も未整備であった。したがって、中ソ同盟は対日講和を求めるための道を残したうえで、対米闘争を無条件に、全面的に展開するための措置はとらなかったと考えられる。
以上の二点について、中ソ同盟の軍事的支柱であった在華ソ連軍の役割に焦点を当てて具体的に考察したい。
16:00~18:00 第 II 部 講演 & コメント
講演:志田淳二郎(中央大学 大学院法学研究科)
コメンテータ:倉科一希(広島市立大学 国際学部 准教授)
ジョージ・H・W・ブッシュ政権とCFE交渉、1989-1990年
―在欧米軍削減問題とドイツ統一問題からの接近―
The George H. W. Bush Administration and the CFE Talks, 1989-1990:
Based on the Withdrawal of U.S. Troops in Europe and the German Unification
1990年11月19日、NATOとワルシャワ条約機構の全加盟国22カ国は、CFE(欧州通常戦力)条約に調印した。冷戦期長らく対峙してきた東西同盟間で結ばれた同条約は、「冷戦終結」の印象を人々に植え付けさせるものであった。本報告の課題は、CFE交渉に臨むジョージ・H・W・ブッシュ政権の意図を検証することである。
従来のCFE研究では、史料上の制約から、CFE条約の構造を中心とした「静的側面」の分析に留まっていた。だが、冷戦終結関連の史料開示が進む近年、交渉に臨む各国政府の意図やそれらを背景にした交渉過程の詳細といったCFE交渉の「動的側面」に光を当てることが可能となりつつある。こうした現状に鑑み、本報告は、ジョージ・ブッシュ大統領図書館の未公刊史料を使用し、上記の課題に取り組む。
アメリカ外交の視点に立ったCFE交渉の「動的側面」の検証にあたっては、東西関係における交渉過程だけでなく、当時アメリカ国内で議論されていた国防予算削減の一環としての在欧米軍削減問題や、ヨーロッパの安全保障環境を大きく変容させることが予想されたドイツ統一問題にも注目する。
東西軍縮交渉とは別の文脈で進展したこれらの視角からCFE交渉に接近する本報告は、ブッシュ政権の意図のみならず、冷戦終結期の米欧関係にも新たな視座を提供する。
アメリカ外交の視点に立ったCFE交渉の「動的側面」の検証にあたっては、東西関係における交渉過程だけでなく、当時アメリカ国内で議論されていた国防予算削減の一環としての在欧米軍削減問題や、ヨーロッパの安全保障環境を大きく変容させることが予想されたドイツ統一問題にも注目する。
東西軍縮交渉とは別の文脈で進展したこれらの視角からCFE交渉に接近する本報告は、ブッシュ政権の意図のみならず、冷戦終結期の米欧関係にも新たな視座を提供する。
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