【 日時 】 2015年7月11日(土) 13:30~18:15
【 会場 】 東京大学駒場 I キャンパス 2号館 303号室
【 プログラム 】
13:30~16:00 第 I 部 講演 & コメント
講演:吉次公介(立命館大学 法学部 教授)
コメンテータ:根本 敬(上智大学 総合グローバル学部 教授)
コメンテータ:宮城大蔵(上智大学 大学院グローバル・スタディーズ研究科 教授)
戦後日本=ビルマ「特殊関係」の形成 1951-1963
The Establishment of Japan-Burma "Special Relations" after the World War II: 1951-1963
2011年3月にテイン・セイン政権が発足した後、ミャンマー(ビルマ)では民主化・国民和解が進展している。アウン・サン・スー・チー国民民主連盟(NLD)議長が下院議員として国政に関与するようになり、ミャンマーと欧米の関係も急速に改善した。
世界がミャンマーの動向に注目するなか、2014年、日本とミャンマーは国交樹立60周年を迎えた。約6000万人の人口を抱えるミャンマーは、経済的にも、地政学的にも日本にとって大変重要な国である。また、日本とミャンマーは、歴史的なつながりも深く、ゆえに「特殊関係」にあると言われた。アジア太平洋戦争期、日本陸軍の南機関がイギリスに対抗するために、「ビルマ独立の父」といわれるアウン・サン将軍らビルマ独立を志す若者30名に軍事教練を施したためである。
しかし、戦後日本とビルマの関係に関する一次史料を用いた実証研究は十分に進んでおらず、賠償問題の妥結のプロセスも解明されているとは言い難い。本報告では、アジア冷戦の推移を視野に入れつつ、1951年のサンフランシスコ講和から1963年の賠償再検討問題の妥結までの日緬「特殊関係」を跡付け、日本外交の成果と限界を明らかにしたい。
16:15~18:15 第 II 部 講演 & コメント
講演:伊藤頌文(慶應義塾大学 大学院法学研究科)
コメンテータ:小川浩之(東京大学 大学院総合文化研究科 准教授)
冷戦変容期のイギリス外交と東地中海の同盟管理 ― キプロスSBAを巡る議論を中心として―
British Policy under Détente and the Alliance Management in the Eastern Mediterranean:
Focusing on the Discussions on the Sovereign Base Areas of Cyprus
冷戦期の東地中海は西側陣営にとって戦略上の要衝の一つであった。しかし1970年代にデタントが進展すると同地域を巡る同盟内の問題が顕在化した。なかでも、かつて東地中海を帝国の要と捉え、影響力を行使してきたイギリスは、世界大のコミットメントから離脱した後も関与の維持を余儀なくされていった。
本報告は従来の冷戦史・同盟研究で必ずしも注目されてこなかった東地中海におけるイギリスの役割と同国が負った責任を、この地域における同盟管理の文脈に引き付けて検討する。その際に本報告が注目するのは、イギリスが旧植民地であるキプロスに、その独立後も保持し続けた主権基地領域(SBA)である。SBAは東地中海におけるイギリスのプレゼンスと対ソ抑止の象徴であった一方で、その維持コストに比して有用性はきわめて限定的であり、常に撤退論が浮上する存在でもあった。なぜイギリスは多大な負担を強いられるSBAを保持し続けたのか。
この問いに答えるために、本報告では当該期のイギリスが置かれた状況を東地中海の同盟内問題と絡めて分析することで、イギリスの西側同盟内での立ち位置と、その背後にある歴史的遺産の一側面に光を当てることを目指したい。
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