(※ 終了しました)
【 日時 】 2014年7月19日(土) 15:00~18:10
【 会場 】 東京大学駒場 I キャンパス 14号館 308号室
【 プログラム 】
15:00~16:30 講演:土屋由香(愛媛大学 法文学部 教授)
冷戦初期アメリカの広報文化外交と対日反共秘密工作
― 心理学者マーク・A・メイによる1959年「情報諮問委員会報告書」に焦点を当てて―
The U.S. Public Diplomacy in the Early Cold War Era and Clandestine Anti-Communist Activities in Japan:
the 1959 Report of the U.S. Advisory Commission on Information by Psychologist Mark A. May
2007年10月21日、共同通信社はアメリカ広報・文化交流局(USIS)が1950年代に日本で行っていた反共秘密工作についてのスクープ記事を配信した。この記事が依拠した資料は、「アメリカ情報諮問委員会」議長のマーク・A・メイが1959年に日本で実施した調査の報告書であった。報告書には、「広報・文化交流活動」と呼ぶには余りに露骨な秘密工作が多数含まれていた。アイゼンハワー政権期のUSISの活動の半数が政府の関与を秘匿(unattributed)した活動であったと言われるように、こうした秘密工作もまた、冷戦初期のアメリカ広報文化外交の一側面であった。
本報告では、イェール大学の教育心理学者であったマーク・A・メイが、戦後10年以上にわたり情報諮問委員会の議長を務めることになった経緯をたどることで、戦時~冷戦初期のアメリカにおける知の動員体制の一端を解き明かすとともに、彼の報告書の内容を単なるスキャンダルとして見るのではなく、冷戦初期の広報文化外交の中に位置づけてその意味を考察したい。
16:40~18:10 文献紹介(担当:伊豆田俊輔 / 日本学術振興会 特別研究員PD - 福岡大学)
Vladimir O. Pechatnov (2010), "The Soviet Union and the world, 1944-1953", in Leffler, M.P. & O.A. Westad (eds.), The Cambridge History of the Cold War, Vol.I, Cambridge University Press, pp.90-111.
Norman Naimark (2010), "The Sovietization of Eastern Europe, 1944-1953", in Leffler, M.P. & O.A. Westad (eds.), The Cambridge History of the Cold War, Vol.I, Cambridge University Press, pp.175-197.